ナチョになりました!

前回の記事で、「新しい家族をむかえました!シューマッハ改めシュです!」なーんてご紹介していたわが家の新入り坊やですが、実は早々に改名いたしまして(ブログでご紹介した直後に)新しいなまえは、”ナチョ”です!
実は譲渡会のときも、メキシカンで愛らしい坊やのことを心のなかでこっそり、ナチョー!って呼んでました。正式譲渡のとき、馴れてる名前があるならそれでいいかって思ってたんですが、ナチョって愛称で呼んでいたら、やたらとうれしい反応するようになって、あら、この名前気に入った?似合ってるしね!ってことで、しっくりくるこの名前に決めました。
ナチョの綴はジャック・ブラックのナチョリブレとおなじ Nacho。
ゴロゴロしてるとこの顔(真顔)で四本脚同時にドスンポテンとお腹に乗ってくるんですよね(*´∀`)たまりません。
メキシコだとイグナシオの愛称として呼ばれる名がナチョ。意味は炎のような。ファイヤーボーイ ナチョ!怒りん坊の噛み噛み坊やにぴったりでしょ?でも、これからはうれしいたのしいことでいーーーっぱい上書きしようね!

ナチョ 行動療法の先生に会う

そしてそのナチョ坊やですが、トライアルが終了して2週間後、行動療法の先生に訪問カウンセリングに来て頂きました。かかりつけでもなく、友人でもなく、家族でもなく、わたしのことを全くご存じない方に、わたしたちのナチョへの接し方やナチョの行動を診て頂いてのアドバイスがほしくて。
診断は「ハンドシャイ・恐怖防御性攻撃行動・自己主張性攻撃行動」ということでした。先生の目から見て、わたしのナチョへの接し方は基本今のままで大丈夫、口は出る(噛みつきはある)けれどナチョとの関係はとても良好と言って頂いて安堵しました。
通常、噛むという行動の前に、まばたきするくらいの一瞬でも、噛む前のサインがありますよね。唸ったり、体(首のあたりとか)がちょっと固まる感じになったり、耳の向きが変わったり、毛が逆立ったり。ナチョももちろんそういうサインは出しているはずなのですが、そのサインから噛むまでのスピードがものすごく速くて、目視で確認できないくらい、ほぼ反射的に口が出ることが多いのです。
手に対する恐怖、わが家に来る前に繰り返し経験した恐怖が根底にあるようだという診断だったので、まぁどのくらいの時間を要するのかはわかりませんが、怒りってすごく疲れますよね。人だって、反射的に手がでるほどの不安や恐怖を抱えて生きていたら辛いじゃないですか。怒りはとてもパワーのいることですし、たのしくないですし。
人間がどんなに怒りをもって手を出したとして、何時間も人を殴りっぱなしではいられないですよね、精神的にも体力的にも。ナチョが小さな体で、けっこうな頻度で反射的に口がでちゃう苦しさを抱えているなら、そこはもう全力で、怒りと恐怖からの解放をしてあげたい。
いままでわたしが暮らしてきた犬たち、イライラしやすい犬、すぐに口が出ちゃう犬、いなかったんですよ。だからいまね、ナチョを迎えてはじめて、いきなり不躾に他人の犬に手を出したりのぞき込んでおいて、「ちゃんとしつけたほうがいい」「もっと厳しく叱ったほうがいい」「ナメられてる」「信頼関係が」みたいなことを言うすれ違いざまの失礼な人間の多さ、身をもって体験してます(笑)
そんなすれ違うだけの、通りすがりの人たちの目や無責任に放った言葉を気にして犬に乱暴なことをして「ちゃんとした飼い主」だなんて思われても全く意味ないですからね。

わが家のえらぶトレーニング

トレーニングに関しては”プロ”といっても様々で、いろんなタイプの訓練士さんがいらっしゃいます。
NHKプロフェッショナル仕事の流儀 ワンちゃんスペシャル(第349回2018年1月29日放送)、これはぶったまげましたねー。ボッコボコ犬殴ってるのもびっくりしましたが(そういう訓練士さんがいるってことは知ってましたけど)、なによりも、感動してる人や擁護してる人の多さに。
わたしはわたしでいち飼い主としての感想もあるのですが、番組をみた獣医さんや訓練士さんたちの記事にだいたい言いたいことが含まれていたので貼っておきます。

1. 最初に、問題行動が、脳疾患、神経疾患、内分泌疾患、痛みを伴う疾患など身体疾患が原因で生じていないことを確認します。
2. 問題行動を生じさせている刺激と動機づけを明らかにします。
(日本獣医動物行動研究会日本獣医動物行動研究会は、行動診療に際して問題行動※に対して次のように対処することを推奨します(PDF)より )

このプロセスを丁寧にせず、正しい知識を得ることもなく、吠える噛むといった行動に対して暴力を用いて”矯正”したとして、いったいなんの意味あるんでしょうか。

ハズバンダリートレーニングでやさしい手をめざす

そうそう、2018年2月24日、杉並で開催されたチャーリードッグスクール主催の、青木愛弓先生のセミナー”イヌとの暮らしを変える「やさしい手を目指して」”に参加してきました。

詳しく感想を書こうと思っていたら、docdogさんがこの日のセミナーのお話、ハズバンダリートレーニングについて、とてもきれいにまとめてくださってました。
[blogcard url=”https://www.docdog.jp/2018/02/magazine-husbandrytraining.html”]

私たちの犬に対する”甘え”が関係している。犬は1万年以上も前から人間と一緒に生活してきた過程で、選択繁殖によって攻撃性を抑えられ、人間社会の刺激に対して寛容な個体だけが残されてきた。だからこそ犬たちは、例えば私たちが無理やり他の犬に近づけたり、嫌がるのもかまわずブラッシングや爪切りをしたり、動物病院で押さえつけて採血や注射をしたりしても、じっと我慢してくれることも多い。
けれども、私たちは犬が我慢したり、人間に合わせたりしてくれることに、少し甘えすぎなのだ。無理やり押さえ込んだり、抱きかかえたりすれば解決したように見えても、実は愛犬は内心ストレスを抱えており、何かのきっかけでそれが問題行動として出てしまうこともあるだろう。

この日、”「愛・知・技」のなかでふたつ選ぶとしたらどれを?”という問いかけがありました。わたしは愛と知を選びました。ハズバンダリートレーニングは知と技で愛が不在でも動物たちに優しくできる方法。愛のとらえ方や価値観はひとそれぞれですもんね。これが愛の形という決まったものはない。なので、愛と技は確かに危険ですよね。愛と暴力を結びつけてしまうことがあればなおさら。

「犬が問題行動をするのは、飼い主さんだけが悪いわけじゃないと思うんです。ブリーダーさんやペットショップ、獣医師の先生、トリマーさん、トレーナーさんなど、犬を取り巻くいろんな人たちが、きっと少しずつ”やらかして”いる。そういう人たちみんなが犬に好かれる、『やさしい手』になればと思います」

ほんとそうですねー。噛むのは本能からではなく経験から。まずは自分を省みることから。犬具の見直しも含めて。

おみやげでもらったセミカチ

セミナーで、受付のときに配られたセミカチ。これをクリッカーの代わりに使います。

実はわたしクリッカートレーニング、いつも挫折してました。なんでかっていいますと、よくなくすから。落としたり置き忘れたり。名前を呼んだり、舌&上あごでタンタンッと音を出すほうが手軽だったので、音系は自分の口を使って出る音のほうを使ってました。リラックスモードではよい反応なのでいい感じでいけそうなんですけど、様々な音が80デシベル超える音で飛び交う都会の散歩ではどうしても弱いです。それで、いただいたセミカチに穴をあけて、リードに着け外しできるようにしてみました。
けっこう大きな音がするので、ポケットの中や、ハンカチ・タオルなどで鳴らす手を巻いたりして、どんな力でどんな方向から使えばこのくらいの音っていうのを確認して使うのがいいと思います。近くでやったらビックリして怖がっちゃう音でますから。
散歩中に使っていますけど、すごくいい感じです。タイミングさえ合えば!タイミングは練習あるのみですね。

それぞれに合う犬具を

ラナは首への刺激に敏感で、コンフォートフレックスハーネスのようなタイプが苦手。それで、首に通す必要のないトレポンティのハーネスを愛用しています。

だけどナチョは脇に手を差し込まれること、脚や脚の付け根を触られることに対して激しい嫌悪感がありました。トレポンティのハーネスを見ただけで激しく怒るようになったため、しまっておいたコンフォートフレックスハーネスを使うことに。

おやつで誘導して頭をくぐらせてしまえば、あとはマジックテープ+バックルを一カ所留めるだけなので。といっても、その、マジックテープ+バックルが毎回けっこうな関門だったんですけどね。なかなか強力なマジックテープなので、外すときのベリベリ音、すごく嫌がりました。
ナチョの場合、しばらくハーネスをつけっぱなしにしておくよう行動療法の先生からアドバイスいただいたのですが、コンフォートフレックスハーネスだとちょっとつけっぱなしにしてしまうには大げさすぎるというか、意外と重いというか。
そこで、コンフォートフレックスハーネスと同じ形状で、マジックテープなしで、軽いものはないかないかと目を皿のようにして画像検索していたら、ありました、ありました!金具は最小限、マジックテープはついていなくて、超軽量なハーネスが。30gあるかな?ってくらいの軽さ。PONOPONOハーネスというハーネスです。散歩していて感じるナチョの引きの強さでは、強度的にもまったく問題ありませんので散歩でも使用してます。

あと、こちらはハンドメイドサイトで見つけたハーネス。PONOPONOハーネスを常時着けながら、着け外しの練習で使ってます。

ある日のトレーニング風景

ある日の練習風景を。ハーネスを見ると飛びついて噛みに来ていたナチョですがこんな感じで首を入れてくれます。ラナお姉ちゃんもじゃm応援してくれてます(^∀^)

それから散歩後の足拭きとブラッシング。足拭きのウェットみると警戒しちゃって、いやーな顔するんですよねー。
ナチョって、超ーーー毛が抜けるんです。同じスムースでもラナはあんまり抜け毛がないけどナチョは換毛期の柴犬か!ってくらい。と、いうわけで日々のブラッシング必須なんですけれども、あんまり好きじゃない。
そこで、足拭きのウェットをひらひらさせつつお気に入りの大好きなおもちゃで体を撫でたり、おもちゃとゴムブラシを並べてどれがいいか選んでもらって(ちゃんと選ぶんですよwかわいいー)ナチョのチョイスに従っておもちゃで撫でつついつの間にかゴムブラシに変更してしまう、というようなことをしてます。とってもたのしい。

すごくうまくいく日もあるし、体調や気圧の変化でナチョがイライラしやすい日はまったくうまくいかないこともあるけれど(限りなく甲状腺機能低下症を疑う検査上の数値が出てます)、たのしみながら、のんびりやさしくね。
本当に、犬って賢い!賢くて懐深い、優しいいきものですね。
噛むっていっても、チワワでしょ?っておっしゃる方、いるでしょうね。大きな犬の噛みとは深刻さが違うんだとか。違わなくないですよ。噛む犬が抱えている心の苦しさは、チワワだろうがピットブルだろうが柴犬だろうが同じですよ。
噛まれたら確かに痛いし怖い。だけど、飼い主が苦しいとき、犬はもっともっと苦しい思いを抱えているってことを、絶対に忘れちゃいけない。飼い主が困っているとき、犬はもっともっともっと困っている。それを、愛と暴力を結びつけた理論でどうにかしようなんて、とうてい思えません。

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