アロマテラピーは純粋なエッセンシャルオイル(精油)を用いて幸福感やバランス、健康をもたらす療法です。人間には広く用いられていますが、動物における使用効果、毒性、有効性はよく知られていません。
エッセンシャルオイルは天然のものですが、不適切な使用によって中毒をおこした動物についての報告も多数あります。犬と猫をいっしょに飼育されているご家庭の場合はとくに、注意が必要です。
※精油の成分(テルペノイド)の多くは吸入や経皮吸収によってすばやく吸収され、肝臓で代謝されます。通常の動物の場合は摂取された物質をある種の酵素を用いた重要な解毒システムで解毒し、代謝して排出しますが、猫の場合はこの酵素を欠いているため解毒に非常に時間がかかってしまう可能性が高く、その有毒物質を蓄積してしまい中毒症状を起こしてしまう可能性があります。

犬にアロマテラピーを行う場合に気をつけること

精油を使うときはできる限りよい経験(たのしい経験)と関連づけることが大切です(その香りがあるときはたのしいときであると覚えてくれるため)。怖がっている最中やショックを受けている最中には使用せず、すこし落ち着いた状態になってから使い始めましょう。
好きな香りをみつけましょう。香りの好き嫌いは人同様、個体差があるものです。好きな香りこそが癒やしにつながり、嫌いな香りはそれだけでストレスになります。効果効能があるといっても、イヤな香りを決して無理強いしないこと。イヤな香りのときは顔を背けたり逃げて行ったりします。
次のような拒否反応がでたときには直ちに使用を中止し、芳香浴の場合はすぐに換気をしましょう。
・うろうろ歩き回る
・過度によだれをたらす
・クンクンなく、哀れな鳴き声をだす
・狂ったように転がったり床などに体をこすりつけたりする
・くしゃみ、荒い鼻息
など
アロマテラピーは病気予防、健康維持に役立ちますが、治療行為ではありません。体のことで心配なことがある場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。

犬に使ってはいけない精油

人間のアロマテラピーに使われる精油でも犬に使用するのは避けたほうがいい精油があります。使用する場合はごく少量から使用し様子をみながら徐々に慣らしていきましょう(最小限で最大の効果を得る)。
アニス、オレガノ、ウインターグリーン、ウォームシード(アカザ)、カラマス(ショウブ)、カンファー(クスノキ)、カシア(センナ)、クローブ、サッサフラス、サンタリナ、ジュニパー(抽出部分が果実のジュニパー・ベリーは使用可能)、セイボリー、タイム(レッド・ホワイト)、タンジー、バーチ、ビター・アーモンド、ヒソップ、マグワート、マスタード、ラベンダーストエカル、ルー、ワームウッド、ヤローなど

こんなときにはこんな精油で

心をおちつかせたいとき

鎮静系の精油:ラベンダー、ローマンカモミール、サンダルウッド、ネロリ、イランイラン、クラリーセージ、スィートマジョラム、フランキンセンス、プチグレンなどから1〜3種類組み合わせる
※多頭飼育のストレスに
※飼い主も犬もぐっすり眠れるように
※留守番中に不安で緊張して黄が高ぶってしまう犬に
※引越が決まっているとき、好きな香りを引越前からたいておき、引越してからも引き続きたく

すこし元気を出したいとき

疲労を緩和する精油:ジュニパー・ベリー、ゼラニウム、ペパーミント、ローズマリー、レモングラスなどから1〜3種類組み合わせる

気持ちを明るくしたいとき(内気でシャイな犬に)

すこし気分を高揚させる精油:オレンジ、ベルガモット、グレープフルーツ、ネロリ、ローズなどから1〜3種類組み合わせる
※内気、シャイでなかなか他の犬や人に馴染めない犬
※留守番中に元気がなくなる犬
※病気療養中で気分が暗くなっている犬(飼い主にも)
※老犬の気持ちを明るく、介護する人も明るくなるために

老化と免疫低下に効果があるといわれている精油

認知症

犬の認知症にメディカルアロマ(精油:アカマツヨーロッパ)を補助薬として使用したところ、著しい効果がみられたという報告があったそうです。アカマツヨーロッパは強壮と脳血流の活性化にお薦めの精油です。

  • アカマツヨーロッパ、ティートゥリーは認知症治療に効果があると言われています
  • 精油の質はとても大切です。粗悪な精油は効果がないばかりか、容体を悪化させてしまうかもしれませんので、信頼できる品質の精油をお使いになるようおすすめします

活用方法

芳香浴

部屋に香りを漂わせる方法。精油の香りをたのしみ穏やかな効果効能も利用することができます。オイルウォーマー、アロマライト、ディフューザーなどの器具を利用してたのしむことができますが、マグカップにお湯を入れお気に入りの精油を垂らすだけでも香りが広がりたのしめます。

マッサージ(※肌に合わない場合はすぐに洗い流して下さい)

筋肉の緊張を解きほぐし、心も身体もリラックスさせるマッサージに精油の香りが加われば、さらにリラックス効果が高まり被毛や皮膚からも浸透します。精油をマッサージで使用する場合はベースオイル(キャリアオイル)に希釈してブレンドオイルをつくります。マッサージするときには犬の被毛にべったりとつけるのではなく、人の手のひらにごく微量つけ、手のひらを温めて鼻先で香りを嗅がせるようにしてからマッサージします。

ミスト(スプレー)

スプレーにはルームフレグランスミストと身体に直接かけるボディミストがあります。消臭用にはルームフレグランスミスト、虫除け用にはボディミストをつくります。
ほかにも、足浴に使用したり、老犬の腰痛などに温湿布で使ったり、肉球クリームを作ったりなど、愛犬とたのしめる利用方法がたくさんあります。アロマ講師をしている友人からもらったチンキやクリームも、飼い主と犬で愛用中。アロマテラピーのきもちよさ、心地よさは後日たっぷり加筆していきたいと思います。
参考文献:愛しのペットアロマセラピー・ペットの自然療法事典
 

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